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現実:空想=3:7くらい

舞台の感想とか、思った事を素直に綴る。舞台って楽しい。人生って楽しい。

劇団イキウメ カタルシツ「語る室」 ~不思議なものと闘わないSF

あらすじ

田舎町、ある日の夕方。人気の無い山道で、三歳児と幼稚園送迎バスの運転手が姿を消した。

軽のワンボックス車はエンジンがかかったままで、争った後は無かった。

手掛かりはほとんどなく、五年経った今も二人の行方は分からないままだ。

消えた子どもの母。その弟の警察官。バス運転手の兄。

そして、三人が出会った人々...。

帰ることのできない未来人。奇跡を信じて嘘をつき続ける霊媒師。父の死を知り実家を目指すヒッチハイカー。

父の遺品の中に見つけた免許証を、持ち主に届けようとする娘。

彼らを通じて、奇妙な事件の全貌が見えてくる。

 

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SFやファンタジー作品が大好きな私は、イキウメさんの演劇に出会った時、「これだ」と感じました。SFやファンタジーの醍醐味は、非現実の中にある現実の人間に当たり前にある感情が交差した時にどうなるのか、だと思ってる。イキウメの前川さんの脚本はそこが重要なポイントになっていて、私はすごく好きです。

 

前置きはこのくらいにして、今回のイキウメ別館「語る室」の感想を。

 

まず劇場に入って目に入ってきたのは、モノトーンの世界。色がないセット。どこか寂しい感じがした。

でも、開演と同時に照明が点いた途端、色が付いた。セットに照明が当たって色鮮やかな緑の芝が目に入る。絵画に急に色が塗られたような、上手く言えないけどそんな感覚でした。「これから何か始まる」のわくわく感が半端ない。

導入で最初に「不思議」を見せつけられた。何故私はセットに色が着いていた事に気づかなかったのか。うん、楽しい。

 

そんな中、物語は始まる。

過去と現在、そして未来が交差する世界。時間軸がずれると物語が分んなくなって混乱する舞台ってよくあるんだけど、語る室はそんな事なかった。

物語が進むにつれ、謎が出現しては紐解かれ、そしてちょっとずつ色々な事象が繋がっていく。この謎が、解かれるまでは謎のままでいてくれる。展開が全然読めませんでした。何が起こるのかわからないわくわく感が半端ない。「え、なんで?」「そっか、その人が繋がるのか!」の繰り返しが終盤手前まで続く。

 

でも、ふとすべてが繋がったんですよ。でも、登場人物たちはすべてが繋がった事に気づいていない。でも、観客はすべてがわかってしまった。「ねぇ、みんな(登場人物達)いつ気づくの?!」と、もどかしく観ている時間が続いた。

でも、終わりは急に来た。

「僕はこのことを言わなかった。すべてを知る必要は無い。知っているのは、貴方がた(観客)だけだ」(※台詞はとってもニュアンス。すみません、記憶力がなくて)

 

終わった。

全部を知っているのは観客だけだった。なんだろう、この「良い疎外感」。

うわぁぁぁぁ、なんだこれ!楽しい!ってなりました。その場で叫びたかったくらいに。

舞台を観る時、私は登場人物に感情移入したり、ステージの上で登場人物を見守る通行人Aになっている時が「楽しい」と感じる事が多い。

でも、語る室は「舞台と観客席の間に厚い透明の壁がある」感覚だった。なにこれ。楽しい。

舞台上の登場人物たちは今回の物語によって、何も変わってないんです。不思議な事にも気づかない。彼らの世界は通常通り回っている。以前と何も変わらずに。

でも本当は、彼らは確実に変化している。9/22に彼らが変化しているのを知っているのは、傍観者である私たちだけ。

なんだこれ楽しい。

 

<blockquote class="twitter-tweet" lang="ja"><p lang="ja" dir="ltr">イキウメの別館なので舞台上で不思議なことは起こります。起こりますが、不思議なこととは闘いません。不思議なままにしておくのも悪くないものです。&#10;カタルシツ『語る室』二週目よろしくお願いします。</p>&mdash; 盛 隆二 (@moriryuji) <a href="https://twitter.com/moriryuji/status/647274077795647493">2015, 9月 25</a></blockquote>

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盛さんの言葉の意味がわかりましたよ…!

 

最初に述べた私がもともと好きだったイキウメさんの「非現実の中にある現実の人間に当たり前にある感情が交差した時にどうなるのか」の要素はなかった。彼らの中に「非現実」はなかった。

いや、正確に言えばあったんだけど。冒頭でも非現実の定義について語られていて、その定義に当てはめると確実に非現実なんだけど、非現実じゃない。

冒頭で語られていた非現実の定義は「日常に想定しない事、例えば不慮の事故とか」そういう事が非現実として定義されていた。

あれ、やっぱり非現実かな。

 

とにかく、イキウメ別館という名にふさわしく、本館(?)とは別のおもしろさがあった。あぁ、本当に楽しい。楽しいって言いすぎだな。

 

「大多数の人が言う常識」

「常識という概念の中で生きていたら、いざ非常識な事態が起こった時に何もできない」

「何が恥ずかしいのか、わからない」

(※何度も言うようにうるおぼえなので、私の中で消化した言葉になってます)

この辺の言葉が、今回刺さったかな~

 

最近、常識とかマナーとか叫ばれすぎてて嫌になってきてたんですよね。いやまぁそれが大事なのはわかるけど。いちいち学級会になってるTLが。好きなものが「マナー悪い」と言われてしまう日常が。

愚痴でしたね。すみません。

 

現実と非現実、常識と非常識って何か似てるのかもしれないな。

 

次のイキウメさんの公演も絶対行こう。

来年には太陽再演も控えてるし。