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現実:空想=3:7くらい

舞台の感想とか、思った事を素直に綴る。舞台って楽しい。人生って楽しい。

One on One「BIRDMAN」~後悔していないと言える最後の為の物語

One on One 26th note 

コードシリーズ 「BIRDMAN~空の果てにあるもの・ライト兄弟~」

20151217日(木)~1223日(水祝)

シアターグリーン BIG TREE THEATER 

作・演出・音楽:浅井さやか

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歴史上の人物をテーマとし、その偉人の史実と童話をからめた物語でつむぐミュージカル「コードシリーズ」。

2006年のスタートから、音のChord(コード)「CDEFGAB」に沿って進んできました。

201512月、ついに最後の1音「B」公演の上演が決定いたしました!!

最後の偉人は「BIRDMAN」=飛行家=ライト兄弟

飛行機による有人飛行を成功させた、世界初のパイロット兄弟を、浅井の切り口で描きます!

ライト兄弟とコラボレーションする童話は「オズの魔法使い」!

201310月の「しあわせの詩」から約2年ぶりの劇場公演です!

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出演:

鯨井康介 内藤大希/

田宮華苗 佐野まゆ香 岡村さやか 蔵重美恵 千田阿紗子 妻木泰二/浅井さやか/

上野聖太

(演奏)はんだすなお

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とても楽しみにしていたOne on Oneさんの劇場公演。こんなにハイクオリティなミュージカルがこの規模の劇場で上演されて、間近で熱を感じられるなんて本当に贅沢な時間を過ごせる。幸せだ~

さて、今回の「BIRDMAN」。もう、One on Oneさんは本当に期待を裏切らないでくれる。ハードルを上げまくって観る舞台が「あれ、思ってたのと違う」なんてことは日常茶飯事だし、そんなちょっと残念な気持ちにならないようにハードルを下げて臨む事も多々あるけれど、One on Oneさんの舞台はガッツリハードルを上げても簡単にハードルを飛び越えてくれる。安心感。次回の公演も安心して観に行けると感じた。気が早いね。まずはBIRDMANの感想を。

「私だけが不安なわけじゃないんだ。不安で良いんだ。私が悪いわけじゃない。悪くないんだ」

そう思える作品だった。

いくつかのワードに分けて、この作品の感想を述べたいと思います。

 

(※いつもながら台詞はうるおぼえです。間違えていたら申し訳ありません)

■見返りを期待して何が悪い?純粋な心だけじゃ生きていけない。そんなの誰だって知ってる。

フライヤーにも書かれている言葉。このフライヤーを観た時に「ああ、今回も刺さる作品になってるんだろうな~」って思った。『見返りを期待しない』って、私の世界になくて、それが小さいころからずっとコンプレックスだった。ボランティアだって、「『自分はボランティアをしている』という充実感」を見返りにしていたし、メリットがないと感じるものには昔から興味がわかなかった。大人になっても「見返りを期待するなんて、最低だ」と言われる行為(もしかしたらそれは被害妄想だったのかもしれない)が蔓延っていて、自分は嫌な人間なんだなぁって思う事が多かった。

「見返りを期待して何が悪い?純粋な心だけじゃ生きていけない。そんなの誰だって知ってる。」

そうだよね、別に私は悪くないよね。

お話の中で、このセリフは金と名誉というわかりやすい見返りだったけど、そんな大きなものじゃなくて、日常の中の小さな見返りを期待するって、誰しもあると思う。

本当に、浅井さんの作るお話は自分に刺さる。

誰にでも刺さる部分がある。

One on Oneさんのお芝居を見ていると、いつも自分の生きてきた時間の中から、記憶の中から色々な事を思い出す。そして必ず、前向きになって帰れる。

私ももう、堂々と思える。「見返りを期待して何が悪い?」。

 

■人生なんて、ほとんどつまらない。たまに突風が吹くだけ。

とっても強気な少女「ドロシー」の歌の歌詞。ドロシーのセリフはいつでも頼もしくて、正しくて、ハッとさせられる。しっかりと自分を貫ける彼女は、この物語の中で唯一「完璧な存在」。目的も、行動も一貫している。「こんな子に、こんな考え方が出来るようになりたい」と思わせてくれる人。

「つまんないのなんて、アンタだけじゃないのよ!」とウィルに一喝するシーンはグッサリえぐられました()

冒頭で浅井さん演じる科学の先生?が「ライト兄弟のクライマックスはどこだったのでしょう?…そう、貴方たちが想像した所」という台詞。私のクライマックスは?と聞かれると確かに想像した時間があった。それは、私自身が思う私のクライマックスなんだと、改めて思い知らされた。クライマックスの後なんて、本当につまらないと思っていたのも事実だったから、ドロシーの言葉が響いた。

多くの人は、あるんじゃないかな。「自分の人生のクライマックス」で思い出す時間が。私だけじゃないんだと、つまらない事が不安なのは私だけじゃないんだと感じる事が出来た。「クライマックスの後は、転がるように落ちるだけ」と語るウィルに言ったドロシーの一言。

「クライマックスなんて、事故みたいなもんよ事故!」

良い言葉だなぁ。そういう考え方が出来るドロシーは素敵でカッコいい少女だった。

 

■キャストさんについて

鯨井康介さんは、今年孤島の鬼で観て以来でした。なんだか「素敵なおじ様」が似合う役者さん。(20代の役者さんです。笑) 今回はライト兄弟の兄、ウィルバー・ライト役。

いつ観ても素敵なお芝居してくれるんですよね。私の感覚では「目でお芝居する役者さん」

必死な目、諦めた目、慈しむ目、目で伝わるものがたくさんあるような気がした。孤島の諸戸役も、BIRDMANのウィル役も、とても「優しくて、脆い人」の役だった。繊細な感情表現が素敵なんです。また観たいなぁ。観に行きます。

内藤大希さんは純粋で無邪気で素直な弟、オービル・ライト役。キラキラの涙が非常に美しかった…笑 オズの国でのオーブの純粋さはまるで10代の少年のよう。25歳の現実のオーブとはお芝居が違っていて、とても器用な印象を受けた。

ライト兄弟を実力のある素敵で若い2人が演じてくれてすごく良かったです。「一周回ってそっくりな二人」とてもすてきでした。そこに、ライト兄弟が居ました。あまり上手く言葉に表せられないんだけど、本当に素敵だった。

あと、田宮華苗さんライト兄弟の妹のケイト、そしてオズの国の南の魔女を演じていらっしゃってました。田宮さんを以前の観劇で初めて見た時、とてもおしとやかな方なのかな?って思ったんです。見た目の印象なんですけど(役でもおしとやかな役でしたし)

でも、本当はとっても愉快な方ですよね() BIRDMANでは千秋楽に南の魔女として本当に自由で明るく、楽しそうに魔女を演じてらして、東の魔女役の佐野さんにちょっと怒られていたのがすごく面白かったです。「田宮さん、本当に楽しいんだ」って思ったし、観てるこっちも自然に笑顔になっちゃうんです。私、ストレートに感情を表に出して、それがぶつかってくる役者さん大好きなんです。田宮さんはまさにそういう役者さん。

楽しい気持ちがあふれていて、こっちまで自然に楽しい気持ちになっちゃうような。笑いたいときに笑って、泣きたいときに泣いて、楽しいときは思いっきり楽しい気持ちを溢れさせちゃうような、そんな役者さん。「それ演技じゃないじゃん!笑」って思う瞬間があるんだけれど、それが自然に舞台上で出来ちゃう役者さんって本当に少ないんですよね。すごく好きです。

One on Oneさんの魅力は、百聞は一見にしかずという感じなので、本当に誰にでも勧められる素敵な作品です。過去DVD2500円という破格なので、是非たくさんの人に観て頂きたい。あ、私関係者とかではないですよ。笑 純粋にそう思える、素敵な作品でした!